古事記・日本書紀の神様

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蛭子(ヒルコ・エビス)

蛭子(ヒルコ・エビス)

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<a蛭子
【別名】
蛭子蛭子神、恵比寿、恵比須、戎大神、西宮大神、エビス神 など。

【ご神徳】
豊漁、航海安全、交易、商売繁盛、市場の神、産業の神 など。

【伝承地】
摂津国西の浦(兵庫県西宮)など。

【継続】
伊耶那岐命(父)・伊耶那美命(母)

【鎮座】
西宮神社(兵庫県西宮市社家町)・蛭子神社(徳島県那賀郡鷲敷町)・西宮神社(栃木県足利市西宮町)・須部神社(福井県遠敷郡上中町)・和田神社(兵庫県神戸市)そのほか恵比寿(戎・夷・蛭子)神社
【解説】

捨てられた未熟児

「なんて素晴らしい男なんでしょう」「なんて愛しい女なんだろう」
伊邪那美命と伊耶那岐命が、いよいよ国産みを始めようとしましたが、待ち望んだ第一子は、未熟児でした。
この第一子が、蛭子です。
両親はこの蛭子を不吉な子と見なし、葦で作った船に蛭子を寝かせ、海に放ってしまいました。
そして、居なかったことに。蛭子命は両親から自分たちの子供と見なされることはありませんでした。

しかし、その後蛭子は波に漂い、人の手に拾われ、陸に上がることになります。

エビスになる

親を失った蛭子命が辿り着いたのは、一説では摂津国西の浦、今の兵庫県西宮だと言われています。
その土地の漁師たちは蛭子を拾い上げ、大事に養い育てたと伝えられています。
無事に育った蛭子はその後、「エビス様」として航海・漁の神様として祀られるようになったとされています。
また、蛭子は「えびす」とも読みます。
しかし、何故その土地の人々は海から流れてきた子を育てあげたのでしょうか。

海の向こうからやってきた来訪神・エビス

日本では昔から、海の向こうの国(=常世の国)からやってくる神様を、来訪神として迎え入れていました。
蛭子も、その海の向こうからやってきた神様として人々に受け入れられたのです。
来訪神は富や幸をもらたす神様として大切にされ、エビス様と人々から呼ばれていました。エビス信仰とも呼ばれています。
そういうことで蛭子は、不吉な子から大切な神様として祀られるようになりました。
日本各地では、来訪神を迎え入れて、祀ることが多く行われてきました。
その点、蛭子も民俗信仰的な部分を持っていると言えます。

七福神の恵比寿になる

航海の神様として信仰されるようになった蛭子が祀られている土地は、時間が経つにつれて市が多く開かれる土地になっていきました。
時代が変わり、その土地と共に、蛭子もその姿を変えてゆきます。
蛭子は市の神、商売繁盛の神としての神格を持つようになり、福神・エビス様として祀られるようになります。
そして七福神にも参加するようになったのです。

庶民的な神様として様々な人に信仰され、福神としてのエビス様として全国各地で有名になった蛭子は、今日では海を離れ農村の神、また産業の神としてなど、様々な場所で多くの福を招いています。

文章:向日葵塚ひなた
挿絵:伊助